歯周病とリウマチ

歯周病について
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こんにちは、香里園にある坂井歯科医院です。

私は車の免許と取得して1年が過ぎ、快適なカーライフを送っていますが、車に乗るようになってから車に乗って出かけることが多くなり、歩くことがほとんどなくなってしまいました。

私が車の免許を手に入れたように、自分の生活の周りが便利になるにつれて運動する機会は少なくなり、多くの人が運動不足と感じておられるとは思いますが、運動することが良いことだと分かっていても運動することを習慣化することは難しいです。

車の免許がない時は駅までほぼ毎日歩く生活をしていたので、現在では体重も増え、からだも動きにくくなってきたのでこれではまずいと思い、主人の仕事が早く終わる日などは二人でウォーキングするように心がけています。

運動をすることで生活習慣病といわれている糖尿病や高血圧、脂質異常症などを予防することができますし、からだの筋力や機能を維持することで、いつまでも自分の足で歩くということができるのではないでしょうか。

私の祖母は私が小さい時から足が悪く、現在では自分の足で歩くことが難しくなってきていて、そんな祖母の姿を見ると胸が締め付けられるような気持ちになります。

年齢を重ねることで筋力が衰えていき歩くことが困難になる方も多くいらっしゃいますが、ある病気が原因でからだの自由が奪われてしますこともあり、それは関節リウマチです。

関節リウマチとは関節が腫れたり、痛んだりする病気で、進行してしまうと軟骨や骨が破壊され、関節が動かせなくなるなど関節の機能が損なわれ、日常生活が大きく制限されてしまう病気です。

初期の段階の症状としては疲れやすい、熱っぽい、食欲がないなどがありますが、徐々に関節の周りがこわばるようになり、その後小さな関節が腫れ、やがて手首やひじ、ひざ、足首、肩、股関節などの全身の関節に拡がっていき、関節を動かさなくても痛みを生じるようになります。

関節リウマチの原因は免疫の働きの異常だと考えられているそうですが、私たちのからだはバイ菌やウイルスなどの外敵から守る役割に免疫があり、この免疫が異常を起こし、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことで炎症が起こり関節の腫れや痛みとなって現れているのです。

1997年関節リウマチの患者さんは歯周病の罹患率が高いことが初めて報告されたのですが、当時は関節リウマチになると手指が不自由になることでハブラシが困難になり、口腔内の清掃不良によって歯周病を併発すると考えられていましたが、近年の研究により関節リウマチと歯周病はもっと深く関わりがあることが注目されています。

関節リウマチと歯周病には多くの共通点があり同じ炎症性物質が深く関わっていて、歯周病が悪化すると関節リウマチが悪化し、関節リウマチが悪化すると歯周病が悪化するという報告があるのです。

歯周病と関節リウマチは共通点が多く、関節リウマチの患者さんからシトルリン化タンパク質というタンパク質に反応する抗CCP抗体が検出されるのですが、この抗体が関節リウマチの免疫異常に関わっていることが証明されていて、歯周病の原因になっている歯周病原菌のひとつにも同じシトルリン化タンパク質が検出されているのです。

歯周病になることでシトルリン化タンパク質が作られ、作られたシトルリン化タンパク質にからだの免疫が反応して抗CCP抗体が作成され関節リウマチの発症の原因になっている可能性が高いと考えられています。

実際に、からだから抗CCP抗体が検出されている患者さんの中でも歯周病が重度になればなるほど抗CCP抗体の値が高いことが分かっていますし、歯周病と診断された患者さんが2年以内に関節リウマチの発症率が歯周病ではない患者さんに比べて2.7倍高くなることも研究で分かっています。

歯周病と関節リウマチは非常に関係が深いことが分かっていることから、歯科医院でブラッシング指導や歯石除去などの歯周病治療を行い、歯肉の炎症や歯周病への感染リスクを軽減させることで、歯周病の予防のみならず関節リウマチの治療効果にもつながると期待されているので、口腔ケアを怠らずお口の中を清潔に保ちましょう。

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