こんにちは、香里園にある坂井歯科医院の今道です。
私は韓国ドラマが大好きなのですが、最近は私の住んでいる地域で放送し始めた「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」という韓国ドラマにハマっています。
このドラマは韓国で2016年に放送され初回放送から当時のチャンネル歴代視聴率を更新し、放送を重ねるごとにファンが爆発的に増えて社会現象にもなった韓国ドラマ史に名を刻む最高傑作なのです。
高麗時代に英雄であった主人公が若き王様の嫉妬から逆賊にされてしまい命を落とすところから物語は始まり、その後神の力により不滅の命を生きるトッケビ(朝鮮半島に伝わる精霊、妖怪)になるというストーリーです。
トッケビが900年以上の時を経てある女性と出会い恋に落ちていくのですが、毎回笑いあり涙ありの面白いドラマなのでまだ見てない方は是非見て欲しい韓国ドラマのひとつです。
インプラント治療は長い歴史を持つ
900年以上もの長い時間生きるトッケビは人生の歴史が深く刻まれているなぁと考えさせられるのですが、歯科治療のひとつであるインプラント治療も長い歴史を持つ治療です。
インプラント治療と聞くと比較的に新しい治療というイメージをお持ちの方も多いのではないかと思うのですが、実は2500年以上も歴史がある治療であり私も驚きました。
失った歯を取り戻したいと願うのは今も昔も同じだったようで、昔の人も失った歯を何とかしようと試行錯誤していて、これまで世界中で発掘された古代遺跡からインプラントを試みたと思われる骨が見つかっています。
歯を失った場所に異物を埋め込んでいるのですが、当時は麻酔などなかった時代ですので現代の私たちから考えると恐ろしいですし、衛生概念もなかったでしょうから痛みや腫れは安易に想像できますが、この古代の人々の勇気がインプラント治療の歴史の始まりであったのではないでしょうか。
マヤ族のインプラント治療
実際、機能的に使われていたと思われる最古のインプラントは南米で1931年に考古学的に発掘されたマヤ族の20代女性の下顎の前歯にインプラント治療が行われていたケースです。
下顎の前歯3本を失った後、真珠貝を精巧に細工し前歯の形に似せた人工の歯が埋め込まれており、当初は女性が亡くなった後に埋め込まれたものと考えられていましたが、様々な検査の結果生前に埋め込まれたものであると証明されました。
人々はあまりにも昔から失った歯を取り戻すためにインプラント治療を試みていましたが、当時は麻酔もなければ技術もない、材料も粗悪なものしかなく成功率がかなり低い治療でありましたので、歯を失ったときの治療はより安全にできる入れ歯治療へと傾いていきます。
現在入れ歯をされている患者さんも感じているように違和感や噛めないなどの機能的な限界を感じていた研究者たちはインプラント治療を諦めることなく象牙や牛の骨、健康な人の歯、鉄、金、サファイヤ、スレンレス、アルミニウムなど様々な材料でインプラント治療を試みていました。
チタンインプラントの登場
何度も試行錯誤を繰り返し長い年月が経過した後、1952年スウェーデンで研究を行なっていたブローネマルク博士によってチタンと骨が拒絶反応を起こさずに結合するオッセオインテグレーションという現象が発見されました。
1962年から人に対して本格的にインプラント治療を行うようになり、最初の患者さんは先天的歯牙欠損で困っていた34歳男性で上顎、下顎ともにインプラントを埋め込み、その後男性が亡くなる41年間問題なく機能したのです。
チタンによるインプラント治療が普及するまではさらに長い年月がかかるのですが、その理由としてブローネマルク博士が歯科医師でなかったことから批判的な立場の歯科医師が多かったそうです。
1982年のトロント会議がターニングポイント
1982年トロントで行われた会議で15年間のインプラント治療の予後が症例発表されたことにより、チタンによるインプラント治療が普及しブローネマルク博士はインプラントの父と呼ばれるようになったのです。
オッセオインテグレーションの発見から約半世紀が経ちましたが、振り返ると80年代には機能を重視していたため審美的な配慮はされず噛めるだけで満足な時代でした。
90年代後半になると機能に加えて見た目の美しさも求める患者さんが増え、骨造成や骨移植などの再生医療の治療がインプラントの技術をさらに向上させることとなり、2000年代には機能的にも審美的にも優れた治療になりました。
インプラント治療にはかなり古い歴史があり、その積み重ねが今のインプラント治療を支えていて、今後さらに歯科医療技術が向上していくことを望むことができるでしょう。
コメント