インプラントをしてもMRI撮影は出来ますか!?というお問い合わせが最近急増しているので情報をまとめたいと思います。
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本項では歯科で用いられるインプラントは「歯科用インプラント」、人工関節や骨結合プレートなどで用いられるインプラントは「その他インプラント」という表現を用います。用途が混同しないよう読み進めて下さい。
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ご存知の通り、MRIは磁気の共鳴によって撮影されます。
X線を用いないので放射線の被曝は無く、造影剤無しで血管の画像も得られるので早期の脳梗塞の診断や脳ドッグに用いられます。年に1回はMRI撮影をされているという方も多いでしょう。
MRIの注意点は、磁気を用いて撮影するので磁性体に分類される金属が体内に入っていると撮影が困難になる事が挙げられます。磁性体が体内にあるのにも関わらず誤って撮影した結果の死亡事故も過去あります。
MRI撮影で危険と言われる材質は、第一に鉄です。撮影室に酸素ボンベを置いた結果、強力な磁力でMRI装置にボンベが吸着して死亡事故が起こった例が米国にあります(2001年7月)。(※参考リンク先:https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20190220210941.pdf?id=ART0010337047
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また、心臓ペースメーカー・人工内耳・神経刺激装置等の電子機器を用いている場合はMRIの撮影は絶対禁忌(きんき)です。
一方で、人工関節や結合プレートなどで用いられる「その他インプラント」や、歯科で用いられる「歯科用インプラント」に関しては、最近用いられている材質に限定すると非磁性金属(チタン、チタン合金、コバルトクロムなど)が主となります。特に歯科用インプラントに関しては、そもそもの大きさが人工関節などと比較するととても小さく、材質として用いられるチタンはMRIの撮影自体に影響を及ぼさず、例え最新の強力な磁力を有する3.0T(テスラ)のMRIであっても、磁力の影響を受ける事なくMRI撮影が可能となります。
ただし、歯科用インプラントの上部構造(歯の部分)の材質を一般的な材質を用いない場合や、義歯を維持させる目的で用いられる磁性アタッチメントと呼ばれる装置を装着する場合は注意が必要です。
インプラントの本体(フィクスチャー部分)がいくら安全でも、その上に取り付ける装置がMRI撮影を妨げる材質が含まれる可能性が多少なりともあるのでインプラントを検討されている方は必ず使用予定の材質を担当医や主治医に確認される事を推奨致します。
当院では磁性体の装置をインプラントに取り付ける際には必ず患者様から問診と確認を取り、患者様や医療機関の求めに応じていつでも取り外せる形での設計・治療徹底しています。
歯科用インプラントのMRI撮影に関する安全性に関しもう少し触れます。
MRI撮影を行う際、チタンは撮影に影響を及ぼさない事を先ほど述べましたが、その他懸念すべき問題として金属の発熱が挙げられます。特に近年のMRI装置は強力な磁力を有する3.0T(テスラ)のMRI撮影装置を導入する医療機関が増えており、過去の実験では検証不十分という意見もあるからです。
結論から述べると、歯科用インプラントはMRI撮影において顕著な発熱や温度上昇は見られませんでした。(参考リンク先:https://pdfs.semanticscholar.org/def8/a0c201c86bd85b71ffaf3a4235b062131371.pdf)
もちろん条件や実験環境によってこれらの結果は左右される可能性もあるでしょうが、現実的に事故報告は上がってきていないので、歯科用インプラントのMRI撮影は「問題無し」と判断して良いでしょう。同様の見解は、公益社団法人日本口腔インプラント学会のQ&Aコーナーの「Q21」項目においてもそのように書いております。
MRI撮影において、その影響の範囲は「安全MRI」、「危険MRI」、「条件付きでMRI可能」の3分類に分けられていますが、この中で歯科用インプラントは「条件付きでMRI可能」に分類されます。撮影自体は安全におこなえたとしても、インプラント全般が画像の乱れの原因となる事は否定出来ないので診断上の問題は完全に解決出来ているとは言い切れない側面もあります。
撮影の可否判断は各医療機関に委ねられているので、MRI撮影を定期的におこなっている方などは特に、歯科用インプラントを埋入する前にかかりつ医院へ問い合わせておいた方が良いでしょう。
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