こんにちは、香里園にある坂井歯科医院の今道と申します。
少し昔の話しですが、１０代の終わりに私が初めて働いたのは、「Ｍ」の字で有名な某有名ファーストフード店でのアルバイトでした。そこでは接客のノウハウを一から教わり、接客の楽しさも難しさも学ぶことができ、今でも私の働くことの原点となっています。
私がここで学んだことは、ただ物を売ることだけではなく、お客様との接し方から社会人としての言葉遣い、また新商品のお薦めの仕方など幅広いものです。さらには「サービス」を評価してくださる大会が社内的にあり、すべてが一からの学びであったため大変なことも多かったですが、私が初めて働く事の出来た場所がここで良かったと今でも思っています。
この時はまだまだ人生の経験も少なくアルバイトでしたので、我武者羅（がむしゃら）にお客様のためだけを考えて、ただひたすら良い接客をしたいという思いが強く、実際にその事だけを考えて仕事をしていました。この時に感じていた感情は今でも自分自身とても大切にしていますが、実は重要なものが一つ抜けています。それは組織全体を見渡すこと。経営者目線で物事を見て考えるという事が抜けていたのです。
その後、接客のアルバイトをいくつか経験した後に坂井歯科医院に就職することになりますが、初めて経験する医療現、さらには初めての正規雇用という事もあって働き方や考え方など違うことがたくさんありました。
ここで働き始めたころは、今までの接客の経験を生かして患者様に良い対応をすることを考えて行動し、医療現場に合った接遇を自発的に勉強して実践しましたが、患者様の為だけに働くことが仕事ではないということに少しずつですが気付き始めます。1人で気付いた訳ではなく、周囲の先輩や院長の考え方を見ている内に自然とそう思うようになったのです。
世間では「患者様」という言葉が当たり前になっていて、私たちが働くのは患者様の為という考えの「患者様第一主義」や「患者優先主義」の医院が増えてきているように感じます。
もちろん患者様の為に働くことは仕事をする上でとても大切なことですが、ただ患者様のことだけを考えて仕事をすることは医院にとって良いことだけではないと思います。なぜだと思いますか？医療現場で働くのに患者様のことだけを考えて仕事する事が決して良くないと私が思う理由はなぜでしょう？
それは、歯科医師、歯科衛生士、受付スタッフ、歯科助手など全ての医院スタッフが自分自身の為にも仕事をしなければ、患者様のお口の中を健康にすることはできないと働いていて感じたからです。自分が不幸だと思ったり、何かの犠牲になっていると感じながら働く事は決して患者様のためにはなりません。暗く、元気なく、覇気のないスタッフに対応された患者様は前向きな気持ちで治療を受けようという気にはとてもなれないでしょう。
自分自身の為とは何も私利私欲に突き動かされて仕事をしましょうという意味ではなく、「やりがい」や「目標」を仕事を通じて見つけ、自身に課せられた役割に対しての対価を院長（医院）から頂き、自分自身の生活を精神面含めてより豊かにすることが仕事の目的で、それがあるから患者様の為に頑張ろうと心から思えるのではないでしょうか。
自分自身が豊かでないと患者様の為に働くことは難しいはずです。
患者様や自分自身の為に仕事をすることに加えて、もう一つ忘れてはならない大切なことがあります。それは「医院」の為に働くこと。
患者様の無茶な要望（無料で治療をして欲しいなど）に無条件で応えていると、医院は不利益を被ります。また、働くスタッフも他人と比べて自分が損をしない事を最優先に考えて行動していれば、院内には損得勘定でしか動かないスタッフだらけになり、医院も不利益を被る恐れが高まります。不利益が重なり続けると、どんな企業でも経営することができなくなり、廃業の恐れが出てきます。大きな組織でさえそうなるのに、中小企業の歯科医院などはひとたまりもありません。
患者様の為を思って無料で治療をしたり、自分自身の為だけを考えて楽に楽しく仕事をしていても、その結果医院が廃業になってしまえば本末転倒です。患者様の為にも自分自身の為にさえもなりません。大事な事は医院の経営を継続させること。その為に歯医院の収入も重要に考え、医院のお金は自分のお金と同じくらいに大切に扱えないと本来はいけません。患者様からお預かりする大切なお金で、より良い環境を整えて質の良い治療を提供しないといけないのです。
患者様の為、自分自身の為、医院の為、どこの部分が欠けてしまっても良い仕事をすることはできないので、このバランスを保ち働くことが、坂井歯科医院に関わるすべての人を幸せにすると私は思います。
「患者様の為」という言葉は決して標語ではありません。坂井歯科医院は患者様の為の医院であり、スタッフが幸せに働ける医院であり、その結果として１００年でも２００年でも地域医療に根ざした医療を提供し続ける組織でありたいと院長はじめ、全スタッフは思っています。
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